ディンギーヨットって、何?
 
「ヨット」という言葉は、欧米では「豪華船」のことを言いますが、日本でいうところのヨットは欧米で「セールボート」といいます。
 
「ヨット」(セールボート)にも種類があって、大きくクルーザーとディンギーに分けられます。
 
クルーザー:本来クルージングするのが目的の船ですから、バース(ベッド)、ギャレー(キッチン)、ヘッド(トイレ)
などがついているのが普通です。
 
        また、天地逆さまの状態になったとしても何もしなくても起き上がる仕組みになっています。
 
ディンギー:乗り組み員が1〜3名の小船で、大きなものでも船体が6mぐらいです。
 
皆さんが「ヨット」と聞いて思い浮かべるのは多分「クルーザー」じゃないでしょうか?
 
ディンギーに限ったことではないですがヨットには「キャットリグ」「スループ」「マルチハル」などに分けられます。
 
キャットリグ:セール(帆)が一枚の船で、1人で操船するのが普通です。別名「シングルハンダー」と呼ばれます。
 
  日本で普及しているものとしては「レーザー」「シーホッパー」「K420」でしょう。これらのクラス(艇種)
        は船体の長さは4m程で、重さも60kg程度、車の屋根に積んで移動することもできます
 
        ヨットに初めて乗る初心者にも最適で、また、レース活動が盛んなことから上級者になっても乗れる船です。
 
        特に「レーザー」クラスは世界的に普及しておりオリンピックの艇種にもなっています。
 
「シーホッパー」クラスは国体の艇種です。
 
スループ :2枚以上のセールを持っている船の事です。通常2人以上で操船します。「ジブセール」
 
        「メインセール」を持っており、「スピン」(スピネーカー)と呼ばれる追い風専用セールを持っている船もあります。
 
        日本国内で見られるだけでも多くのクラスがありますが、レース活動が盛んなクラスは「470」
 
「スナイプ」「テーザー」「14FT」があります。
 
        特に「470」クラスはオリンピック、国体、実業団、大学生などのレースクラスになっています。
 
それでは、「スループ艇」のクラスを詳しくお話します。
 
 470  :その名の通り4.7mの船体、重量120kg、ジブセール・メインセール・スピンの3枚のセールを備えて
 
       います。ヨットの前に乗る人を「クルー」後ろに乗る人を「スキッパー」と呼び、2人で操船します。
 
       クルーはジブセール、スピン、見張り、作戦を受け持ちます。スキッパーはメインセール、舵を担当し
 
船を早く走らせることに専念します。
 
       また強風の時には、クルーはワイヤーで体を吊って艇外に乗り出し、ヨットの傾きを調節したりします。
 
       見た目の複雑さにも関わらず初心者にも操船しやすく日本人の体格に合った乗りやすい船と言えます。
 
       日本ではディンギーレースと言えば真っ先に思い出されるのがこのクラスです
スナイプ :長さは470と同じくらいですが 
重量が160kgあります。スピンはありませんが、
ジブセールをスピンのように使う「ウイスカーポール」
を備えています。
 
       戦前にアメリカで設計された船ですが世界的に根強い人気があり、レース活動も盛んな船です。
 
テーザー:比較的最近設計された船で、スナイプと同じジブセール、メインセール、
ウイスカーポールを備えています。重量が65kgと非常に軽く、スループ艇にしては珍しく車の屋根に積んで移動することもできます。乗員は2人で男女のペアで乗られることが多いようです。470クラスの性能を備えたかなりの高性能艇です。
 
 14FT :14FTクラス歴史は古くディンギーの草分け的存在で、4年に1回更新される「クラスルール」の中で
 
       自由に設計される、常に時代の先端をいく先鋭的な船です。同じ14FTという名前の船でも造船所
 
       が違えば、船体の形も、装備も違います。ほとんどの船がスピード第一に設計されており常に「沈」
 
       (ヨットが倒れること)と隣り合わせで、この船に安全運転という言葉は似合いません。
 
       非対称スピン、ジブセール、メインセールを装備し、クルーもスキッパーも艇外に乗り出します。
 
       レースなどでは非力な運営艇では追いつく事ができないほど速い船で、ディンギーレーサー憧れの船です。
 
最後に「マルチハル」ですが、マルチハルとは「ハル(船体)が複数ある」という意味で、ディンギーの世界では
 
「カタマラン」(双胴艇)がほとんどです。普及している艇種は「トーネード」「ナクラ」「ホビーキャット」などがあり、
 
いずれの船もカヌーの様な形をした2つのハルの間にハンモックを渡した構造の高速艇です。
 
これからディンギーを始める初心者の皆さんには、スループ艇のクルーや、レーザーやシーホッパーなどの
 
キャットリグをお勧めします。
 
ヨットは経験、頭脳、体力が要求されるスポーツですが、欠けているものがあれば、他のもので補える子供から
 
老人まで楽しめるすばらしいスポーツです。
 
 
 
ヨットは風上に走れるの?
 
ヨットを始めようとしているあなた。ヨットは風上に走ることが出来ることを知っていますか?
 
ヨットは風任せの乗り物ですが、風向きに関わらず行きたいところに走ることができるんです。もし、風下にしか
 
走る事ができなければ、港へ帰るには風が逆になるまで待たなければなりません。そんな不安をお持ちの方はいませんか?
 
では、どうして風上に走ることが出来るんでしょう?それは、飛行機の翼とヨットのセールが同じ仕組みになっているからです。
 
飛行機の翼は上面の方が長くなっています。
翼によってA点で分断された空気は、B点で再び合流します。
 
つまり、上面の空気は下面の空気より速く流れなくてはなりません。
 
空気はA点とB点で同じ密度を保とうとするため、翼を上に持ち上げる力が発生します。
 
 
ヨットの場合は吹いてくる風をセールに流して推力を得ている訳ですが、
飛行機の翼と違って、セールは布でできているので、水平方向からの風
 
では旗の様になびくだけで、翼の様なカーブを描きません。
 
ある程度の角度をつけてヨットは進みます。しかし、そのままでは斜めに
 
進んでしまうので、ヨットには「センターボード」と言う装置は付いていて、
 
これが横の力を前方向に変えているのです。
 
 
こうして、ヨットは風下だけではなく、いろいろな方向に走っていけるのです。
 
真直ぐ風上に進みたいときは、少々苦労しますがジグザグに走っていけばいいのです。
 
これでヨットは自分の思い通りになる楽しい乗り物だということが判っていただけたでしょうか。
 
皆さんも安心してヨットを始めてください。初心者のお力になります。
 
風がなくなった時!?そりゃあ、漕いでいくんですよ。古代ガレー船のようにね。ホント。
 
 
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